2017年07月02日

「想定外では済まない」県民怒りの声 原発事故初公判

 東京電力福島第一原発事故の刑事責任を問う裁判が東京地裁で始まった30日、無罪を主張した勝俣恒久元会長(77)ら東電旧経営陣3被告に対して福島県民から怒りや責任追及を求める声が上がった。
 「旧経営陣の責任は明らかだ」。双葉病院に入院していた父健蔵さん=享年(99)=を原発事故後に亡くした福島県大熊町の無職菅野正克さん(73)=水戸市に避難=は無罪主張に憤った。
 相馬市の漁師安達利郎さん(66)は自宅でテレビのニュースに見入った。水揚げや売り上げは東日本大震災前の1割ほど。先行きに不安が付きまとう。「これだけの被害が出たのに『想定できなかった』では済まされない」と言い切った。
 会津若松市東山温泉の庄助の宿瀧の湯では宿泊客が事故前の水準に戻っていない。会長の斎藤純一さん(67)は東電の想定の甘さが事故を招いたと感じている。「司法の場で責任を明らかにしてほしい」と求めた。
 飯舘村防犯指導隊長の菅野敬さん(73)は避難指示解除で4月下旬に自宅に戻った。「東電の責任は揺るがないが、裁判の行方で生活が変わるわけではない」と声を落とした。
 福島市の仮設住宅で避難生活を送る浪江町の無職今村光恵さん(64)の夫充弘さんは震災関連死の認定を受けた。2013(平成25)年に避難先の福島市で亡くなった。「責任が明確になっても夫は戻らない。暮らしていくだけで精いっぱい。裁判には興味がない」と漏らした。
 「故郷に戻れない悔しさがある。(3被告は)苦しみを理解してほしい」。福島市の仮設住宅で浪江町の無職川崎カヨ子さん(75)は責任の追及を強く望んだ。

■傍聴券を求めて朝から長蛇の列
 東京地裁前には傍聴券を求める人が長蛇の列を作った。
 地裁によると、用意した一般傍聴席54席に対して整理券を717枚交付した。

■公判の行方見守る 福島原発告訴団
 福島原発告訴団はバスなどで東京地裁に駆け付け、初公判の行方を見守った。
 閉廷後に参院議員会館で開いた集会では、津波の予見可能性を否定する旧経営陣の主張に疑問の声が相次いだ。裁判を傍聴した武藤類子団長(63)=三春町=は「(3被告は)自分の良心に恥じることなく無罪を主張したのだろうか。お金や労力を惜しまずに津波対策を講じていれば悲劇は起きなかった。公正な裁判が行われるよう、公判を見ていく」と話した。



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